【こっからが国際紛争を解決?!グローバル対話ワークショップ・レポート】


みなさんこんにちは!キミハルです。
前回はタイから、今回はオランダからお届けしております。

そんな私、数日前までアメリカはサンディエゴに出張していました。

こっからで最近増えつつあるグローバル案件。
今回ある企業様から頂いた御依頼は、

国籍の異なる組織間の紛争解決とチームビルディング。

日本本社の傘下で対立するアメリカ企業とドイツ企業の間に入り、
共同事業を進めるチームとしての素地を作りたい、というのがリクエストでした。

文化の違いやコミュニケーション不足により繰り返す衝突は、
会社全体にとって重要な事業の前進を阻み、今やこう着状態に。

「腹の底を理解し合い、ワンチームとして取り組む前向きな力を醸成したい」
サンディエゴでの3日間のワークショップは、「スクラム」と名付けられます。

参加者とのやり取りは、参加者一人ひとりとの事前のウェブインタビューから始まります。
聞こえてきた言葉は、
相手に対する不信感、疑い、怒り、失望、諦め。
そしてその中に共通して在るわずかな希望。

「どうなるんだこれ」とモヤモヤワクワクしながら、
相方の墨とサンディエゴに乗り込みます。

ワークショップ初日。
ピリッと張り詰めた空気。「お前たちは誰なんだ」という視線が刺さります。

しかしここは想定内。セッションは、まず体を動かすところから始めます。
全身の感覚を使い、チームで協働することの楽しさを覚えます。
和らぐ空気。次第に増える笑顔。

互いに人生を語り共有する時間になると、
仕事の環境ではなかなか得られない体験を通じ、それぞれの表情が更に緩みます。
自身を分かち合い、大切にしてきたものを受け止め合うことを体感します。

そして未来を描く。
想像に希望を膨らませ、世界はどうなるか?会社は?自分たちは?
クリエイティブな発想がどんどん生まれていきます。


2日目、セッションはいよいよ本題へ。
問題となっているプロジェクトについて対話を促します。

すると、明らかに空気が変わる。緊張がピンと張り詰める。

「約束が破られた」「自分は悪くない」
「◯◯は何もわかっていない」「自分は怒っている」
相手や第三者を責める言葉が飛び交い始めます。

急遽、その日予定していたプログラムを全てキャンセルし、
即興的にダイアローグを深めていきます。

そんな折、グループプレゼン中、参加者のAさんから小さな声が発せられます。

「自分だって変わりたい。リーダーシップをとりたい。でも難しいのです。」

その表情は切実で、悲痛にも真実を語っていました。

その後全員での対話が過熱する中、僕は先ほどのAさんの声を改めて共有します。

「どれだけの方が聞かれたかわかりませんが、先ほどのAさんの発言、私には本当にパワフルでした。自分はあの言葉に真実と力を感じました。どんな他責の言葉よりも、心が動かされます」

その言葉を聞いた瞬間、Aさんが椅子で泣き崩れます。
それ以上言葉は出てきません。

一瞬静まり返る部屋で、少しずつ、場から本音の声がポツポツとこぼれ始めます。

「自分は一人で悩んでいた。」
「苦しかった。」
「自分が見ている世界以外の世界があるかもしれない。それを見るようにしたい。」

他責の言葉は引き続き聞こえてきます。
その一方で、腹から絞り出される本音が、場の中で明らかに増え始めます。

「自分たちは、敬意が欲しかった」
「あなたから学びたいと思っている」

3時間弱にもわたる対話はここで一旦中断します。

休憩を挟んで、今度は、
全体を2人ずつのペアに分け、散歩しながら対話をさらに深めるようお願いします。

「ビーチ沿いを行った先に、芝生の綺麗な公園があります。そこでまた会いましょう」

対立し合う組織メンバー同士のペアウォーク。
社内の役割や周りの目という鎧を脱いで、一個人として対話を深めてもらいます。


40分後、芝生で集まって座ると、参加者の表情は更に晴れやかでした。
全体での対話を再開すると、今までなかった声が聞かれ始めます。

「オープンでいたつもりが、相手の見方を聞いてそうじゃなかったことがわかった」
「相手の大切にしているものがようやく理解できた」
「相手側と考えがほぼ同じだとわかった」
「もう一度やり直せると思う」
「変わるのは自分自身」
「もう問題は解決してるんじゃないか?」

その瞬間、場を誇らしく思う気持ちが一気に溢れます。
人が変わろうとする様は、こんなに美しいのかと、ただただ感動します。


「すみけん、やっててよかったなぁ」とぱっと横を見ると、

くしゃくしゃの顔で号泣する墨

いやお前が泣くんかーーい!

「感動した」とこぼしながら、ぐぇぐぇ嗚咽しながら泣き続ける墨。
ビーチ沿いで泣き続けるその顔は、産卵のウミガメさながらです。

苦笑いする参加者。
ふと誰かの何げない一言で、釣り合わないほどの笑い声が全体を包みます。
サンディエゴの夕日が参加者を暖かく照らし、
張り詰めていた何かがふわっと解放された瞬間でした。

最終日、グループからは、引き続き前向きな声が上がり続けます。
「もっと人の話を聴きたい」
そんなファースト・ステップが宣言されます。

プロジェクトの具体的内容に話が及ぶと、やはり強い意見が飛び交いますが、
それでも相手の声を聴き、考えを理解しようとする姿勢が維持されています。
少なくともそんなキーマンが数名いることで、場が保たれます。


関係性のベースの構築としては、十分のスタートだ。

メンバー一人ひとりを見ながら、そう確信します。

3日間のプログラムを終え、最後は送別のカクテルパーティ。
これまで仲違いを繰り返してきたキーメンバーが、交わり、談笑し、酒を飲み交わす。
それだけで感動的です。

さらに最後はおっさんみんなが少年に戻り、暗闇の中アホになってプールにダイブ!
少し冷える水の中で、「スクラム」を組んで記念撮影。


なんだか漫画のような綺麗なエンディングです。

思い返せば2ヶ月前、クライアントの企業様と行った作戦会議では、
「サンディエゴの奇跡を起こす」との決意を共有した僕たち。

まさにあのビジョンが現実になった気がします。

今回の仕事を通じて、僕たちこっからは、更に成長できたのではないかと思います。

一人ひとりの世界に誠実に、真摯に向き合うことの大切さを、改めて実感した経験になりました。3日間、僕もすみけんも、まさにプレイフルそのものでした。
このような機会を下さった企業様には感謝の気持ちしかありません。

今回の経験をさらなる飛躍に、今後もぐいぐい成長を遂げていきたいと思います!


そして次回はゆーし!よろしく!

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